震災の影響もあり、予定より約一ヶ月の発売延期を経て、LOVE LOVE LOVE、初のフルアルバム「KYOTOKYO」が4/13にTOWER RECORDS限定販売としてリリース。3.11以降、彼らが何を感じ、何を伝えていきたいのか。4/7に急遽決まった仙台でのライブ、そして、被災地でのボランティアにも参加したメンバーが今の心境を語った。
―今回、震災の件もあってアルバムも急遽発売延期になってしまったわけですけど。それぞれが色々と感じたことってあったと思うんですよね。まずそれを聞いてみたいなと。
寺井 ちょうど東北ツアーを廻ってて、それで帰ってきた日に震災があったんですよ。地震が起きたとき思ったんは、お客さんや知り合いのライブハウスの人たちのことでした。知り合いは無事だったんですけど…そんときにすごく自分としては、ひとが困ってるのをみて、助けにいきたい、なにか役に立てることはないのかなと。そんなときに曲も作ったんですけど…ちょっと違うなって思って。
浦山 いろんなことがわかってくるにつれてね。なのでそれはすぐにオクラ入りにして。
寺井 そう。とにかく地震が起きてから考えさせられたんですよ。僕、阪神大震災のときって小学六年生だったんですけど、驚くばかりで何も出来ませんでした。今になって、ひとつ考えたのは自分が社会の中でどんだけ役に立てるのか?てのはありまして。僕らは音楽を職業にしてるんですが、音楽以外でなにか出来るのかなって…で、いろんなひとに話を聞きに行ったんですよね。それこそ京都で活動してる先輩ミュージシャンとか。そしたら、いま音楽で出来ることはなんもないなって現実を突きつけられた感じがして。それこそ震災直後に歌を歌っても、現地の人たちはそれどころじゃないだろうし…。
―そうですね。
寺井 とにかく無力さを感じてましたね。なんとかせねばって思いがあって…僕らとしては今やってる仕事をまずきっちりやる。その上で出来ることはないかなって今は思ってて。人の関心って時間がたてばどんどん薄れていくじゃないですか?特に被災地に対して。ボクはそれが恐怖だなって思ってて。いかに被災地以外のひとがその気持ちを持続できるかっていうのは今後の課題だとは思うんですよ。そこでもしかしたら自分がなにがしかの役に立てるのかなとも思ったり。で、まずは自分も被災地へ赴いてみようということで仙台へ向かってきました。
浦山 僕も直接的被害はまったくなかったんですけど…だから最初は理解出来なくて。東京にいたらまた違ってたとは思うんですけど。時がたつにつれ、いろんなことがわかってきて。僕らの今回のアルバムもそんな状況下で発売延期を決断したんですけど、いろいろ考えさせられましたよ。ホントに僕らの音楽が今、必要なのかなとか。衣食住が事足りて、ようやく…じゃないのかな?とか。でも僕は必要なものだと思うし。たとえば、僕らの今回の作品って、インドに行って感じたことを含めて「生きる」ってテーマが一環してあると思うんですよね。だとすると、今こそ、その思いは貫き通したいなってのはあるんですよね。「KYOTOKYO」って、人とのつながりを感じながら、考えながら作ったアルバムだし。それを伝えていくっていうのも僕らなりの今回の震災に対する答えかもしれないなあとも思ったり。めぐりめぐってるんですけどね。
澤本 僕は最初は信じられなかったんですよ。テレビをつけるのも嫌になって。何が起こってるのかもわからなかったし。そんな中、くるりと10-FEETのイベントを観に行って。まだ地震の翌日だったんですけど、まだ皆が混乱している中で、すごく心が暖まったというか。「まだ、悩んだらええよ」てことが伝わってきて。僕らは表現者としてどうあるべきかって思ったときに、僕もそんな風に暖めることが出来たらなって思って。くよくよしたくはないなって思ってます。実際アルバムも発売が遅れてしまったんですけど、僕らの思いは作った当初から変わってないし。
―今、作品に対しての考え方とかも変わってきてるんじゃないかなと思うんですよね。
こういう時代の雰囲気の中で、あえてこの曲の想いを伝えていきたいっていうのはあったりするのかな?
寺井 やっぱり「旅に出よう」ですかね。今一度、人と人が手を取り合うような…そういうのが大事な気がするんですよ。助け合わなきゃいけないってことを誰しもが考えていると思います。いろんなことがズタズタになってく中で、皆どうにかして良くしていこうって思っているし。実際、行動しているひともいるわけですし。そうやって皆で動いていく中で、あたらしい社会がその先に生まれていくと思うんです。この曲を作ったときはメンバーであったりとか、一緒に動いていってくれるひとたちと目標に向かってやっていければって…最初、今にして思えばスケールの小さい動機ではあったんですけど。でも今は自分の中ではすごく大きなものになっていて。今回出来るだけ多くの人に聴いて欲しいと思うし。
浦山 僕は寺井君が書いた歌詞なんですけど「五感でモーション」とか。自分の目、耳で感じたことがやっぱりリアリティあることだと思うし。急遽、仙台でライブをすることになり、実際、被災地に直接行ったことで感じ方、考え方は随分変わりました。そういう思いも伝えていきたいなと思ってるんですよ。
―ライブも行って、ボランティアにも参加したんですよね。
実際に行ってみてあらためて感じたことは?
寺井 実際、仙台市内や、ボランティアで参加した地区…名取市に行って思った事は、自分が想像していた状況よりはるかに深刻だということでしたね。特に名取地区はテレビやネットなどで見ていたものより被害範囲というのは広大で、瓦礫の山と化した街を前にただただ立ち尽くすことしか出来なかったんですよ。
浦山 でも、そこで既に多くの人が自分の身に降り注いだ悲しみを抱えながら動き出しているんですよ。自らの事で手一杯なはずなのに資材の搬入だけで、明るく丁寧にお礼をしてくる人たちや、ボランティアセンターで支援活動に尽力している市の職員の皆さんも、支援要請にしっかり答えるべく奔走されてるんですよ。仙台市内でもレコード店、ライブハウス、ラジオ局の方々など僕らに関わりのある方々の現状ではあるが、皆さん前を向いているってことを感じましたし。
寺井 (仙台の)街の至る所に「頑張ろう!東北」の垂れ幕が下げられてたり、ライブハウスも、バンドは少ないながらも何もしないよりは何かしようと毎日店を開けるんだと今回ライブにお誘いいただいた、パークスクエアの店長さんは言っておられましたし。実はDate fmでDJをやられている井上さんとも話をすることが出来たんですが、やはり今まで通りバンドには来て欲しいし、どんどんライブをして欲しい、リスナーの方々からも音楽で救われたというリクエストもだんだん増えて来ているんだと、あまりナーバスになり過ぎないで欲しいと話してくれたんですよ。
>> その時のDate fm井上さんとの対談音源はこちら
澤本 現地の人達はほんとに前向きに、現実を受けとめ一歩一歩復興に向けてがんばっている姿に改めて自分達にできることを考えされられたんですよ。正直、現地に行くまで音楽をしていいのか、音楽で何ができるのか、果たして現地に行くことすらいいのかと迷っていたのですが、大事なのは、無理はせず自分の仕事、生活の範囲内で長く続けることをするということかなと。
僕らは全国色んな場所に行くことがあるので、まだまだ迷ってる人達に感じたことを伝えていって長く長く応援したいと思いましたね。
浦山 僕で言えばやれることって、音楽、そしてバンドの活動でしかないんですよね。
僕らは音楽で人の心に入りこんできたんであって。
そしてこれは実は震災前から変わらない事なんですよね。
ミュージシャンの社会での役割というのを改めて再認識させられた気がするというか。
「ここに来て見て聞いて感じたことを皆さんに伝えて下さい」というライブに来てくれた方の言葉があるんですけど、今、まさに僕らはそう思ってるというか。
その日は、ライブが終わって飯を食べてたら、被災地へ追い打ちをかけるような震度6の余震がきて。仙台を出る事も考えたが、東北道通行止めの情報も入ってきたので、不安のまま一夜を明かす事に。唯一救いだったのはツイッター等に寄せられた皆さんからの声でした。中には東北の方もいて、僕らを安否を心配すると共にこんな想いをさせて申し訳ないと・・・
そこには地元を思う気持ちやこんな時だからこそうまれる人への想いからなのか。あらためて人の繋がり暖かさを痛感した夜でした。
まだまだ先が長い被災地の復興への道のりだけれど、間接的でも長い支援に繋がるよう、自分達の活動をしっかり信じてやっていきたいですね。
―この作品をリリース後、さらに次の段階を目指していくんだと思うんだけど、今見えている次のステップってどんなイメージなのかな。
浦山 そうですね…僕は目指すところはあるんですよ。ずっと思ってることなんですけど、思い返される存在になりたいなっていうのはありますよね。名曲、もしくは名曲を演っているアーティストって皆そうだと思うんですよ。広がりを自分たちで作っていけるような、そんな存在になりたいし、そうなれるようにステップを踏んでいきたいですよね。
澤本 エネルギーを音に乗せていきたいなっていうのはあって。エネルギッシュな部分をより今まで以上に…伝えていきたいところではありますね。
ライブに関しても音源に関しても。
寺井 僕はですね、日本で生活している自分っていうのを、より意識していきたいなって思ってるんですよ。それは環境問題なのか政治なのか…とにかく今、自分が生きている環境の中でリアルに感じたことをポジティブに鳴らしていきたいなっていうのはあります。次の段階としてはやっぱりカロリー消費量の高い作品を作っていくにはどうしたらいいか?ってところなんですよね。今、僕らが課題としているところで。
ひとつ思ったのは憧れる人…例えばRADIOHEADのトム・ヨークが生っぽいというか、すぐそばで歌ってるように聴こえるんですよね。録音されたものなのに、熱量をものすごく感じるというか。そういうのが今の僕にとっての理想で。熱量が歌に乗った…ひとつの世界を一緒に過ごしている、そんな錯覚さえ覚えるわけで。聴いてる人をどっかに連れていってしまうような、そんな作品を作っていきたいなと思ってますね。
―だからこそ、人とつながれると。
寺井 そうですね。とにかく、もっともっとアクションして行くことが肝心かなと。
今いろんな人がいろんな壁を乗り越えて手と手を取り合いながら頑張っている中、僕らも手を取り合って行くべきだと思ってるんですよね。

タワーレコード限定album
KYOTOKYO
2011.4.13 Release
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■チャリティーイベント
4月19日(火)
KYOTO MUSE & BADASS Presents
東日本大作戦
会場:KYOTO MUSE
With:
・10-FEET
・MOTORS
・THE TRUST BLAST
・NUBO
・LOVE LOVE LOVE
OPEN / START 16:00 / 16:30
チケット一般発売:SOLD OUT
(問)KYOTO MUSE 075-223-0389
本公演のチケット売上金からプレイガイド手数料を引いた金額の全て、日本赤十字社を通じて東日本大震災の義援金として寄付致します。
■音声インタビュー
Date fm井上さんとの対談音源を再生